沖縄高江への機動隊派遣は違法!
2021年12月6日
1 逆転勝訴判決
2016年7月、高江地区にあるヘリパッド(ヘリ発着場)の建設が政府により強行された際、愛知県他5都道県の機動隊が派遣され、沖縄の住民たちの座り込みなどによる非暴力の抵抗運動を排除したのですが、その愛知県警機動隊の派遣について愛知県が公金を支出したことが違法であるとして、愛知県住民210名が住民訴訟を提起していた訴訟で2021年10月7日、名古屋高等裁判所が、請求を棄却した一審名古屋地裁判決を変更し、違法な支出命令を行った当時の県警本部長に対し約110万円の賠償命令を行うことを愛知県知事に命じる逆転勝訴判決を下しました。
2 機動隊派遣は違法
高裁判決が機動隊派遣を違法とした理由は、県警本部長が、本件機動隊派遣が社会的に反響の大きい事案で「異例または重要と認められる場合」であり愛知県公安委員会の承認を受ける必要があったにもかかわらず、専決で派遣決定をしたことにあります。公安委員会が、警察の民主的運営と政治的中立性を確保するために、警察を管理すべき組織であるにもかかわらず、形骸化していて、その役割を果たしていないことが問題であったとしました。
また、高裁判決は、機動隊が、座り込みによる抵抗運動をしていた住民らを強制的に排除したり、防衛局職員が、機動隊員の警護を受けながら、抵抗運動の拠点となっていたテントを撤去したことなどが、必ずしも全て適正に行われていたとは評価することができないとして、機動隊が行った高江における警察活動を問題視しました。沖縄における反基地の闘争は、戦争の恐ろしさを知る沖縄県民が、平和を創り出すために、非暴力で抵抗するものです。高裁判決は、沖縄の住民たちの非暴力の抵抗闘争に思いを寄せたものであると考えられます。
3 沖縄の非暴力抵抗運動
沖縄は、第二次世界大戦末期、凄惨な地上戦が行われ、住民の4人に1人が亡くなりました。戦後も米軍による占領は長きにわたり続き、日本復帰後も基地は存続し、住民たちは基地被害に苦しみ続けています。
日本の約70%の米軍基地が集中する沖縄。その沖縄の住民たちの非暴力の抵抗運動に思いを寄せた今回の高裁判決は、司法の役割を果たした大きな意味のある判決です。
弁護士 篠原宏二(名古屋北法律事務所)
(「新婦人北支部・機関誌」へ寄稿した原稿を転機しています)