【相続】相続開始前に預金が引き出されていた事案
2020年7月8日
Aさんの母親が亡くなり、相続人であるAさんと弟のBさんとの間で遺産分割の話し合いをしました。
母親の遺産はほぼ預金のみだったのですが、ほとんど残金がありませんでした。
Aさんが預金の取引履歴をとりよせてみると、母親の存命中に、何年もかけて母親の預金口座から3000万円以上が引き出されていたことがわかりました。
母親は要介護状態で、そんなにたくさんのお金を使う理由がなかったため、母親と同居していたBさんが引き出して使ったのだろうとAさんは考え、弁護士に相談に来られました。
そこで、Aさんの代理人となり、Bさんに対し、母親の生前に引き出した多額のお金については、母親の意思にもとづかないでBさんが勝手に引き出したのだから返せ、と不当利得返還請求訴訟を提起しました。
訴訟の中で、Bさんは引き出したのが自分であることは認めました。お金を何に使ったか説明してもらったところ、Bさん自身のために使ったものもたくさんありました。
最終的には、和解で解決し、Bさんが引き出したお金のうちある程度は返してもらうことができました。
もともとは、不当利得返還請求訴訟が終わった後、あらためて遺産分割調停を申し立てる必要があったのですが、訴訟の中で遺産分割の意味合いも含めた和解をすることができました。
2020年7月8日 弁護士 矢﨑暁子