昨今の成年後見制度の現場から④ あなたが後見人になったら
2016年4月28日
前回まで後見制度の利用状況、後見人選任の家事審判の申立の方法について説明しました。
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今回のテーマは「後見人は具体的にどんなことをするのか」。あなたが配偶者の後見人になったと仮定してお読みください。
あなたを後見人に選任する審判が確定すると、裁判所の嘱託により法務局に後見人登記が行われます(裁判所から登記番号があなたに連絡されます)。東京法務局が一元的に管理しますが、最寄りの法務局で登記事項証明書は入手できます。預金、生命保険等の名義変更のためには登記事項証明書の提出が求められます。
後見人になったら、1ヶ月以内に家裁に財産目録、本人収支表を作成して提出します。
その後は、本人の財産を適切に管理すること、本人の療養看護に配慮することの二つが後見人の任務です。財産管理は、まずは本人の財産、収支をあなたや他人の財産、収支と区別してきちんと記録することが基本です。あなたの最寄りの金融機関に後見人事務を処理するための口座を新たに開設することをお勧めします。税金や社会保険、家賃、水光熱費等の引き落としは一つの口座にまとめた方が便利です。
後見人は、本人のために必要な支出を行うことが仕事です。一部には「本人の貯金は減らさないのが後見人の仕事」と思っている方がいますが、お金をあの世に持っていくことはできません。浪費は駄目ですが、本人の生活のクオリティーの維持向上のために必要な物品やサービス(施設入居サービスを含む)の購入をためらう必要はありません。
(「年金者しんぶん」へ寄稿)