声明「安保法制の成立に抗議します」 2015.10.1弁護士法人名古屋北法律事務所
2015年10月7日
(声明)
「安保法制の成立に抗議します」
9月19日、いわゆる安全保障関連法制が成立しました。
1 安保法制は、その内容が平和主義と立憲主義に反しています。
安保法制は、日本が外国から武力攻撃を受けるおそれがなくても、日本以外の国を守るために武力攻撃する集団的自衛権の行使を認めるとともに、米軍等の外国軍に対して弾薬の提供、武器の輸送や空中給油等の兵站(へいたん)支援を行うことを認めるものです。
しかし、日本国憲法の平和主義は、武力によらないで国際紛争を解決しようとする立場をとっています。「専守防衛」という憲法解釈からも、日本が攻撃を受けるおそれさえないのに、まして「同盟国に恩を売るため」などという理由で、戦争への協力や他国への武力攻撃を認めることは許されません。
安保法制は、日本が戦後70年もの間とってきた平和主義を投げ捨てる憲法違反の法律であり、しかも憲法改正手続を経ないで制定したという点で、立憲主義に真正面から反します。
2 安保法制は、その制定までの過程が民主主義に反しています。
安保法制に対しては、様々な懸念や批判が寄せられていました。ところが政府は、ホルムズ海峡封鎖を例に挙げたり撤回したりなど答弁を二転三転させ、不安や懸念に答えることなく、しかも公聴会での意見を国会に報告することさえせず、採決を強行しました。
民主主義は多数決主義ではありません。自分たちに関わることを決める以上、十分な情報を得てしっかり討議する、というプロセス(過程)が重要です。世論調査では約8割が不十分な説明しか得られなかったと回答しています。
私たちの生活に大きく関わる法律に十分な説明もせず、多くの懸念を残したまま、公聴会での意見も軽視して法律の制定を強行したことは、十分な情報と討議という、民主主義にとって最も大切な過程を踏みにじるものです。
3 私たちは、安保法制が制定されたことに対し、強く抗議するとともに、この憲法違反の法律によって日本が海外で戦争に参加しないことと、この法律を一刻も早く廃止することを求めます。
2015年10月1日
弁護士法人名古屋北法律事務所