解雇の金銭解決制度のお話し
2015年5月29日
いま、政府の規制改革会議は、違法な解雇をされた労働者が、裁判所に訴えて「解雇無効」との判決を勝ち取っても、その後会社がお金さえ払えば、結局労働者をクビにできる制度を導入しようとしています。
一般的に違法な解雇をされた労働者は、裁判所にに対して、解雇の無効と、解雇無効によって労働者の地位にあること、その間の給与を求めることができます。
規制改革会議は「紛争解決を早期化し、選択肢を多様化する」ため、解雇無効の判決が確定している場合に、労働者の申し入れに限定し、企業からの申請は認めていない制度の導入を提言しているそうです。
ただ、 こうした一般的に解雇無効の判決が出ているような事案では、その途中で金銭によって解決をしないのかどうかの話が出てくることが殆どです。判決にまで至っているのは労働者が職場に戻りたいという意思の強い場合であると言えます。
本来であれば、その場合に金銭で解決するのではなく、復職をしたい労働者が安心に復職できるようにする制度こそ作られるべきでしょう。
違法な解雇を金銭保証で争いたければ労働審判で争うことができます。この制度はいずれは、企業側にも申した手拳を認め、解雇をしても金銭で解決することができるとすることで、解雇をしやすくする制度を目指していると言えます。
労働事件を戦う弁護士としては、金銭解決制度に対して反対です。
2015年5月29日 弁護士 白川秀之