相続(1)連れ子について
2015年1月7日
相続をめぐる問題の第1回です。今回からは、家族が亡くなったときの相続についてお話しします。
実の子に相続権があることは皆さんご存じだと思いますが、今回考えてみたいのは、配偶者の連れ子についてです。
A子さんが、子どもBくんを連れてC男さんと再婚した場合を考えてみましょう。C男さんが亡くなったときに、Bくんに相続権があるかというと、C男さんと養子縁組をしていない限り、相続権はありません。
民法では、「被相続人の子は、相続人となる」と規定されていますが(民法887条1項)、ここでいう「被相続人の子」に、養子縁組をしていないBくんは当てはまらないのです。ですから、妻の連れ子に相続をさせたいと考える場合には、養子縁組をしておく必要があります。
また、連れ子は、代襲相続の際にも問題となることがあります。代襲相続というのは、例えば祖父より先に父が亡くなっていたような場合に、父に代わって子(祖父から見ると孫)が祖父の相続人となることを言います。
この代襲相続について、民法では、代襲相続人になれるのは被相続人の直系卑属(孫やひ孫)に限るとされています。そうすると、養子の養子縁組前の子(養子の連れ子)というのは、被相続人の直系卑属ではありませんから、代襲相続人になることができません。
このように、誰が相続人になるかという問題は、なかなか単純な場合ばかりではありません。せっかくの話合いを無駄にしないためにも、一度弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士 鈴木哲郎
(「商工新聞」 名古屋北部民商へ寄稿)