真夏の総選挙を眺める2ー子育て支援が争点に浮上ー 豆電球No.91
2009年8月19日
真夏の総選挙を眺める2ー子育て支援が争点に浮上ー
総選挙の中で、子育て支援ということが盛んに議論されています。子育て支援が選挙戦の一つの重要な争点に浮上すること自体、大変のぞましいことです。自公政権を追い込み、政権交代が迫っている中、ある意味では国民の要求を実現するチャンスです。各政党には大いに競い合って欲しいと思います。
民主党のこども手当が話題を呼んでいます。
これから子供を養育する世帯にとっては、ありがたい手当かもしれません。私には三人の子供がいますが、これから結婚し、出産する彼らのことを考えると、月額2万6000円の手当はありがたいと思います。でも、これが本当に子育て対策、少子化対策になるのでしょうか。そのために5兆2000億を投下するというのは、有効な税金の使い方と言えるでしょうか。私は、いささか疑問があります。
中日新聞の投書欄に次のような投稿がありました。
「手当はありがたいが、お金を渡して、これで何とかしておけ、という男性の発想に基づくものではないか。保育所に入所できない待機児童、医療費、働き続けようと思っても1年間の育児休暇しか保障されない現実。こういった総合的な対策を講じてこそ、本当の少子化対策ではないか」
私は、なるほどと思いました。
4万人とも潜在的には100万人いるとも言われる保育所。これを大量に増設してほしい。保育予算の切り下げや保育園の民営化等はやめてほしい。
義務教育の9年間は、まだ学費がかからないだけ助かりますが、修学援助を受ける児童が増えていると言います。これを充実させたり、所得が低い世帯への児童手当を増額して欲しい。
経済的理由から高校や大学への進学をあきらめたり、途中で退学する子供が増えています。私の娘の友人にも、そういう学生がいます。OECD諸国で高校の授業料を取っている国は、日本を含むごく一部の国であり、大部分は無料化しているそうです。ほぼ高校全入の時代であり、授業料は無償にしてほしい。
また、大学生に対する給与制の公的奨学金制度を持たない日本は、先進国の中でも例外と聞きます。大学を卒業して社会人になったら借金数百万円ということでは、世界有数の経済大国の看板が泣きます。
医療費の問題も、子供を育てる過程では深刻です。先日、長女が足指を骨折して休日急病診療所で診て貰ったら、治療費が1万0580円、松葉杖のレンタル保証金が1万円の2万0580円を請求されました。財布のお札が全部なくなり、冷や汗を掻きました。収入が少ない家庭では、医療費の負担がしんどいでしょう。共産党のマニフェストを見ていたら、窓口3割負担という国は、OECD諸国でも例がないそうです。
こういう対策を総合的に講じてこそ、本当の少子化対策であり、子育て支援ではないでしょうか。
また、こども手当の財源確保のため、扶養手当、配偶者手当の見なおしを考えるとのこと。その結果、600万世帯が負担税、増税になるそうですが、そうしたやり方が正しいのでしょうか。
さらに、これは深読みかもしれませんが、こども手当が支給されるようになると、企業が従業員に支払っている扶養手当の削減の傾向が生じないか心配です。もともと民主党は、大企業の国際競争力を強化すること、そのために法人税の税率の引き下げや社会保険料の負担軽減等を主張してきた経緯があります。企業が負担してきた扶養手当を税金でまかなうこども手当が代替するようなことにならないかも心配です。いわんや、将来的には、その財源を将来的には消費税の税率引き上げでまかなうというのであれば、これまた大変な問題です。
自民党の特別給付金1万2000円が、選挙のためのバラマキとして批判を浴びましたが、それとは桁違いのバラマキ政策にならないか、慎重な吟味が必要ではないでしょうか。
子育てを応援するためのきめ細かな政策を総合的に打ち出している政党がどこなのか、しっかり見極めたいものです。