豆電球No.2
2005年12月16日
先日、昼食を食べるそば屋で週刊現代を見ていたら、大橋巨泉がおもしろい記事を書いていた。巨泉は、オーストラリアで一年の大半を暮らしているが(ゴルフ 三昧でうらやましい限りである)、オーストラリアと日本の政情を比較し、その共通点を指摘している。
オーストラリアでも、ハワード政権は、アメリカの ような自由競争経済をめざし、規制緩和路線を推進しており、その一環として労働者の労働条件を切り下げる法案が出された。オーストラリアは、経済路線や外交路線ではアメリカの忠実な部下という点で日本の小泉政権とそっくりの道を歩んでいる。オーストラリアでは、前の労働党政権のもとで労働者保護の政策が打ち出され、土日の賃金は平日の二倍になる等の改革が進められたが、国際競争力を強めるため、その切り下げを狙っているという。
ところが、政権批判が強まり 本来なら政権交代のチャンスなのだが、野党労働党に力がなく、党首が全くの不人気であり、何ともならないようだ。巨泉は、オーストラリアのこうした状況は 日本も全く似ているとして、民主党が、自民党に政策的にも追随し、自民党以上に右寄りな前原代表を担いでいるが、あまり期待できないと嘆いている。巨泉 は、自由競争経済が強まる中で、貧富の格差が広がる中で、今こそ、野党や組合の力が強くならなければならない、「何万人もの労働者をリストラする大企業を相手に一人でたたかえるのか」と結んでいる。
巨泉は、相変わらず歯に衣を着せぬスカっとしたてで意気軒昂な感じだ。
最近、いろんな人が、小泉の構造改革、自由競争至上主義に警告を発している。作家の高村薫も最近の月刊誌で同じような批判をしていた。演出家の宮本亜門 は、自民党大会に礼賛で招かれ挨拶し、その中で、沖縄の現状に触れたり、年金生活者等一人ひとりの国民の気持ちを理解すべきだと述べていたことが報じられ ている。
弱肉強食社会に日本を近づける構造改革に対する批判は、広く深く、広がりつつある。