会社法について 「株式譲渡制限会社」
2007年3月27日
新会社法の施行
平成18年5月1日、「会社法」(以下、「新会社法」)が施行されました。これまで、会社に関する規定は、商法や有限会社法など、複数の法律に分散していましたが、今回の改正で、会社関係法規を一本化し、また平仮名口語体表記にして読みやすくしました。
併せて重要な実質的な改正も行われています。そこで、特に、中小企業に関連する改正点について簡単に説明していきます。
株式譲渡制限会社とは
「株式譲渡制限会社」とは、すべての株式の譲渡を制限している株式会社のことをいいます。
現行法以前は、有限責任の会社としては、大規模な公開会社を想定した株式会社と、非公開・中小企業を想定した有限会社が並列し、有限会社では、株式会社に比べて簡易な規制を選択することが可能でした。しかし、現行法では、株式会社制度と有限会社制度とが株式会社への一本化という方向で統合が図られました。
その代わりに、中小企業の実態に合った企業形態として導入されたのが、「株式譲渡制限会社」です。これは、実態として閉鎖的で小規模な株式会社が多い我が国の実態に会わせて、株式会社であっても旧有限会社に準じた簡易な規制を選択することができるようすることをねらいとしています。
株式譲渡制限会社の特徴
従来、株式会社は、例えば、取締役会および監査役の設置義務や、取締役3人以上の設置義務があるなど、厳格な機関の定めがありました。しかし株式譲渡制限会社では、株主総会こそ必須の機関ですが、取締役会および監査役の設置が任意になり、したがって取締役1人のみの会社でもいいことになりましたので、無理をして名目だけの取締役、監査役を置く必要はなくなったのです。
また株式譲渡制限会社のうち取締役会を設置しない会社では、株主総会の決議事項を拡大することで経営の適正さを確保しようとしていますが、口頭での招集手続き認めるなど株主総会を開催し易くすることで、経営の機動力にも配慮しています。
さらに、株式会社の取締役の任期は原則として2年、監査役は原則として4年ですが、株式譲渡制限会社では、定款でそれぞれ10年まで伸ばすことができます。これにより登記等の手続費用の削減が期待される反面、任期途中での解任は難しくなるでしょう。
なお、すでにある有限会社はそのまま有限会社として存続することも株式譲渡制限会社に移行することも可能です。
我が国の中小企業の中には、定款を見直して会社の実情に合わせた機関設計を行ったほうがよい企業も多いと思われます。