自動車運転過失致死傷罪ができました。
2007年8月17日
自動車運転過失致死罪とは。
平成19年6月12日より、自動車運転過失致死傷罪が刑法に登場しましたが、一体どんな犯罪なのでしょうか。下にその条文を引用しました。
刑法第211条第2項
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
これまで、自動車を運転して人を怪我させたり死なせたりした場合に適用されていたのは業務上過失致死傷罪(刑法第211条第2項)、危険運転致死傷罪(刑法第208条の2条)などでした。
この二つの犯罪は当初、業務上過失致死傷罪のみだったのが、悪質な交通事故の厳罰化の傾向によって、危険運転致死傷罪が作られたという経緯があります。しかし、危険運転致死罪が成立するための条件が厳しく、危険運転致死傷罪の成立を否定する裁判例も登場するようになりました。
そこで、従来からあった、業務上過失致死傷罪の一類型として、自動車の場合の事故で定めたものが今回の自動車運転過失致死傷罪です。
自動車については、4輪車に限られず、2輪のバイクも対象となります。
また、これまで4輪以上の車にしか適用されなかった危険運転致死傷罪も今回の改正では2輪のバイクも対象となるようになりました。
自動車運転過失致死罪では、7年以下の懲役と定められているので、通常の業務上過失致死傷罪の5年以下と比べても悪質な事故には重たい刑罰を科すことができます。ただ、危険運転致傷罪(障害にとどまった場合)の法定刑は最高15年、致死罪(事故によって人が亡くなった場合)の法定刑は懲役20年なので極めて悪質な部類の犯罪に危険運転致死傷罪を適用するという関係になると思います。
お詫びと訂正
本記事7月13日以前の版では、「危険運転致死傷罪について最高刑は懲役15年」との記載がありましたが、危険運転致傷罪の最高は懲役15年、危険運転致死罪の場合は懲役20年です。2004年の刑法改正によって懲役刑の法定刑の最高が15年から20年に伸びました。以前の記事はこの改正を失念していたものでした。お詫びの上訂正いたします。