ドメスティック・バイオレンス(DV)と離婚
2013年11月27日
「ドメスティック・バイオレンス(DV)と離婚」のお話し
近年、ドメスティックバイオレンス(DV)の絡む深刻な事案が増えています。DVの離婚事案は、紛争性が高く長期化することも多くなります。今回は配偶者からDV被害にあい離婚を考えるようになった場合、どこに相談したら良いか、暴力から身を守るためや離婚するための裁判所での手続きについてお話しします。
◆DV離婚◆
2012年の司法統計によれば、「夫が暴力をふるう」という理由で裁判所に離婚を申し立てた妻は、離婚希望者の約3割を占めています。離婚の申立理由としても、暴力は2位にランクイン。3位に「生活費を渡さない」、4位に「精神的虐待」が続き、肉体的・経済的・精神的DVが離婚理由の多くを占めていることが明らかになりました。
DVの中には、「結婚した途端に夫が豹変した」、「出産を機に暴力が始まった」というケースもあります。DV被害に遭い、離婚を希望する場合、どのように進めていけば安全でしょうか。
◆まずは相談を◆
弁護士はもちろん、警察や行政で、随時相談を受け付けています。警察では、DV相談であることを明らかにし、相談記録を作成してもらいましょう。保護命令などの手続に必要となります。名古屋市では、
名古屋市配偶者暴力相談支援センター(052-351-5388)、
名古屋市DV被害者ホットライン(052-232-2201)、
名古屋市男女平等参画推進センター(052-241-0325) ←(2021.4.23削除)
イーブルなごや相談室「女性のための総合相談」(052-321-2760) ←(2021.4.23追記)
などで随時相談を受けて付けています。
緊急に避難が必要な場合には、シェルターを紹介してもらうこともできます。
◆安全の確保◆
夫の暴力を防止するため、裁判所に対してDV防止法に基づく保護命令を申し立てることがきでます。
保護命令には、接近禁止命令(6か月間、住居や職場に接近したり付近を徘徊することを禁止)、退去命令(2か月間住居から退去させ、接近を禁止)、電話等禁止命令(面会の要求、電話、ファックス、メールの禁止)などがあります。
申立人の妻だけではなく、一緒に避難している子どもがいる場合に、子どもへの接近も禁止できます。
夫が保護命令に違反した場合は、犯罪(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)として処罰されます。
◆離婚手続について◆
夫から避難しているケースでは、話し合いで協議離婚(=離婚届の提出による離婚)をすることは困難な場合が多いでしょう。
その場合、裁判所に離婚調停を起こすことになりますが、調停で夫と会わねばならないのか、後から尾けられるのではないか、などの不安から、申立を躊躇する方があります。
しかし、現在の調停手続では、DVに対する理解が進み、裁判所は離婚手続を契機としてDV被害に遭わないですむよう、様々な配慮をしてくれます。
たとえ裁判まで進んだとしても、一度も夫と対面せずに離婚をすることも可能です。
2013/11/07 弁護士 裵明玉(ぺみょんおく)
(「新婦人きた」へ寄稿)