原爆症認定問題
2008年1月25日
原爆症認定基準の改正案が出されました。
1月17日に、厚生労働省は、与党原爆被爆者対策に関するプロジェクトチームに対して、「新しい審査のイメージ(案)」(以下「イメージ」)を提示しました。
この「イメージ」は、12月19日与党原爆被爆者対策に関するのプロジェクトチームの「提言」の内容が大筋採用されました。とりわけ「これまでの原因確率による審査を全面的に改め、迅速かつ積極的に認定を行うこととする」としており、これまでの厚生労働省の態度が大幅に変更されました。
厚生労働省のイメージ
厚生労働省の案では以下の通りになっています。
1.今後の原爆症認定の審査に当たっては、
(1)被爆から長い年月が経過じ被爆者が高齢化していること
(2)放射線の影響が個人毎に異なること
などに鑑み、これまでの原因確率による審査を全面的に改め、迅速かつ積極的に認定を行うこととする。
2.このため、自然界の放射線量(1mSv)を超える放射線を受けたと考えられ、被爆地点が約3.5km前後である者及び爆心地付近に約100時間以内に入市した者並びにその後1週間程度の滞在があつた範囲にある者が以下の症例を発症した場合については、格段の反対すべき事由がなければ、積極的に認定を行う。
3.具体的には、
(1)がん、白血病及び副甲状腺機能元進症について
放射線起因性を推認させる様々な事情を考慮して積極的に認定を行うとともに、こうした記録がない場合にあっても、申請書の記載内容の整合性やこれまでの認定例を参考にしつつ判断する。
(2)放射線白内障について
老人性白内障を除き、積極的に認定する。
(3)心筋梗塞について
放射線起因性が認められる心筋梗塞を認定する。
4.また、これまでの認定の実態を踏まえて、幅広く審査会の審査を省略し、大臣が認定を行う。
5.2.以外の場合についても、個別審査の上、総合的判断を加え、認定の判定を行う。
今後の課題
ただ、病気で苦しむ被爆者を全て救済できる案であるとまでは言えません。特に、(1)被爆者の間に線引きがされていること、(2)肝臓疾患が除外されるなど対象疾患が限定されていること、(3)訴訟の解決について言及されていないこと、(4)医療分科会の改革が示されていないことなど、課題が依然残されている。
これらの問題を解決できるかは今後の活動にかかっていると思います。