労働(3)残業代について
2013年8月28日
1 今回は残業代についてのお話です。
2 1日8時間以上,週40時間以上の法定労働時間を超える労働をした場合には、使用者に対して割増しの残業代を請求することができます。
残業代を支払わなければならないことは労働基準法で定められており、仮に使用者と労働者が残業代を支払わないという合意をしたとしても、支払わなければならないのです。
残業をさせながら残業代を支払わないことは、労基法違反になり、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。
また、午後10時から翌朝午前5時は深夜労働となり、この部分も同様に割増しの賃金を支払わなければなりません。
このほかにも、労働基準法で要求されている1週間に1日の休み(法定休日)がない場合には休日労働が発生します。ただ、週休2日制の場合の片方の休みだけに働いた場合には法定休日の労働となるわけではありません(1週間に1日休みがある)が、それによって週の労働時間が40時間を超える場合は超えた部分が時間外労働時間になります。
3 では、具体的な計算方法についてみていきましょう。
たとえば、始業が午前9時で就業が午後6時で正午から1時間休憩であった場合、午後6時以降の労働部分は時間外労働時間として、残業代が発生します。また、午後10時から翌朝午前5時までの間はさらに深夜労働時間ともなりますので、さらに割増率が加算されます。
また、1週間の労働時間が40時間を超える場合も時間外労働時間となります。例えば、月曜日から土曜日まで毎日8時間労働した場合は、週の労働時間が48時間となるので、8時間が時間外労働となります。
4 この他に、管理職だから残業代が支払えないと言われたという相談も多数ありますが、管理職で残業代を払わない場合は殆ど無いと言えます。例えば、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について、経営者と一体的な立場にある者でなければ残業代を払う必要があります。
また、残業代の定額払いとすることもしばしばありますが、実際の残業代が定額分より多ければ、会社はその差額を支払う必要があります。
5 残業代を請求するには資料が必要です。タイムカードがベストですが(1)メールの送受信時刻、(2)パソコンのログアウト時刻、パソコンファイルの更新時刻、(3)業務日誌、運行日誌、(4)手帳などの手控え、(5)(運送関係勤務であれば)タコグラフなどの資料で証明することもできます。
2013/08/06 弁護士 白川秀之
(ホウネットメールマガジンより転載)