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事務所だより

『ぷらっとほーむ』権利擁護の人づくり講座 に参加して4

2013年4月17日

ぷらっとほーむ権利擁護の人づくり講座
第四回介護保険制度を知る

2013.3.12裵明玉

1. 第四回の講座では、介護保険制度について、午前に居宅サービス利用編(講師は居宅介護支援事業所麻の葉の会代表の鶴田鏡子さん)、午後に施設利用編(講師は特別養護老人ホーム楓林花の里施設長の赤井久夫さん)と分けて、講義を受けました。
介護保険の素人でも、介護保険で利用できる居宅・施設サービスの種類と利用条件を一日で把握できる充実した内容でした。

2. 午前の講義は、具体的なサービスの種類についての説明の前に介護保険の基礎知識について学びました。
医療・福祉・介護の「病院医療から地域医療へ」「措置から契約へ」「家族介護から社会的介護へ」という時代の動きを背景として、サービスを自治体が行政処分として支給したかつての制度から、利用者が選択した事業者に介護報酬が支払われる介護保険制度が導入されたこと、介護保険は市区町村が運営し、40歳以上が加入者となって保険料を納め、介護が必要となったときには費用の一割を支払ってサービスを利用できることなどな説明を受けました。このうち65歳以上の人は、第一号被保険者として要介護認定を受けられますが、40歳から64歳までの人は、加齢によって生じる特定疾病(ガン、関節リウマチ、認知症、ALS等)についてのみ、要介護認定を受けられます。
介護サービスを利用するためには、要介護認定を申請して受け、認定結果に沿って介護サービス計画を作成することが必要です。この計画作成は、介護保険の限度額を睨みながら作成することとなり、ほとんどの場合ケアマネージャーに依頼することになります。

3. いよいよ具体的な居宅サービスの種類についてです。訪問を受けて利用するサービスには、ホームヘルプ(排泄・入浴・食事・洗濯等)、訪問入浴介護(浴槽を提供しての入浴介護)、訪問リハビリテーション(理学療法士、言語療法士等)、訪問看護(看護師)、居宅療養管理指導(医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士等)があります。通所して利用するサービスには、デイサービス、デイリハビリテーション、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修費支給(改修工事前の申請が必要)、ショートステイがあります。最近は、ショートステイの予約が希望者多数で取りにくいため、デイサービスの枠内で宿泊も行うお泊りデイサービスが増加しているとのことです。これらのほか、夜間対応型訪問介護などの地域密着型サービスがあります。

4. 午後の講義は、施設・居住系サービスの全体像を見た後、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム=特養)・介護老人保健施設(=老健)・介護療養型医療施設(=療養型)の3つの介護保険施設について、詳しく伺いました。すべての施設で、費用の1割負担とともに、別途、居住費(=家賃)、食費、理美容代などの日常生活に要する実費が掛かります。
特養では、従来型の4人部屋を中心とした施設から、少数の居室と当該居室近くに設けられた共同のリビングダイニングに相当する場所ごとに支援が行われるユニット型が主流となりつつあるが、ユニットごとに職員を配置する必要があるため、職員の負担が増えていることや、従来型より利用料が高いなどの問題点も指摘されました。また、特養の待機者数は、名古屋では現入居者数とほぼ同数(平均待機日数は1000日!)と深刻な待機高齢者問題があるため、平成15年から、市の優先入所指針が作成されており、各施設の入所検討委員会が当該指針に沿って入居者の優先順位を決めていることが報告されました。

5.このほか、実際に施設入所している入所者の具体的な状況(要介護度、認知症の程度等)、利用されているサービスの統計資料等の説明があり、最後に「よくある問い合わせ」について、お話しがありました。この中で、複数の施設に同時に申込ができること、一定の医療を目的とする老建・療養型は利用期間に制限があるが、特養にはないこと(=終の住み処)、特養でも嘱託医による定期診察が受けられるが処方箋薬は有料となること、特養における看取りの可否は施設によるが楓林花の里では嘱託医との連携によりエンゼルケアまで応じていることなど、多くの施設サービスの利用を考えている当事者が知りたい具体的なお話を聞くことができました。

6.私が後見をしている被後見人の中にも家族がいないのに特養への入所ができず、お泊まりデイを利用せざるを得ない方がいます。ショートステイを転々として、特養入所までをつないでいく事例もあるそうです。介護報酬費の相次ぐ削減が、介護施設事業や介護職への取り組みを困難にしていることは間違いなく、高齢者福祉に携わるにあたっては、国の福祉予算の配分の是非や、国の政策の中で高齢者福祉をどのように位置づけるかという政策論についても、学んでいく必要があることを痛感しました。

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