更新料問題 最高裁判決出る
2011年10月8日
2011年7月15日、最高裁は、1年契約の賃貸借契約で、毎年2ヶ月分の更新料を支払うという更新料条項の有効性が争われた事案について、その条項を有効と判断しました。
最高裁曰く、「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項」があれば、更新料の額が「賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎる」などの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらない、というのです。
この判決に対しては、消費者問題を扱ってきた弁護士から多くの批判が出されています。そもそも消費者契約法10条というのは、たとえ契約書に「一義的かつ具体的に」記載されていても、消費者の利益を一方的に害する条項は無効とするというのが趣旨であるのに、その趣旨を忘れたかのような判断だという点が一番の問題点だと思います。
さらには、毎年更新時に、2ヶ月分の賃料を余分に、無条件で支払わなければならないという条項が、「高額に過ぎる」とは考えない、という判断には驚かされます。
借地借家法は、正当な理由がない限り更新拒絶は認められないと規定しており、更新料なんか払わなくても当然に更新されるわけですが、多くの庶民はそのことを知らずに、更新料を払わないと更新されない、追い出されてしまうという勘違いによって、やむを得ず更新料条項に同意しているのが現状です。まさに情報の量と質の格差が生み出した不当な条項なのです。
最高裁の裁判官は、庶民が持つ情報の乏しさに思いを馳せることができない、庶民離れした人たちだということを露呈した判決だと思います。
2011/10/2
弁護士 伊藤勤也
(ホウネットメールマガジンより転載)
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