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事務所だより

青春18きっぷの旅  第三弾 東海道線から身延線へ、中央西線で名古屋へ戻る旅 参与・立木勝義

2010年5月20日

天下の名峰−富士山を車窓から眺めて 

富士山を見るなら冬の日がよいとは先人からの教えです。3月20日の土曜日の休みを利用して青春18キップで身延線に乗ることにしました。静岡県の身延線(富士〜甲府間88.4キロ)に乗り込むためには、東海道本線「富士駅」に午前10時19分発の「甲府行き」に乗車することが絶対条件です。

私の住んでいる日進市の名鉄日進駅午前5時48分の始発電車に乗っても、東海道線金山駅の普通列車には間に合いませんでした。私は、やむをえず新幹線で豊橋まで先回りするため、名古屋−豊橋間(乗車券・特急券2230円の支出)を新幹線乗車にしました。この金額は青春キップ一日分2300円に相当する金額で、JR東海がいかに高い新幹線の料金設定をして利益をあげているかを思い知らされました。こうして、豊橋発7時26分の浜松行きに乗車することができ、その後、静岡県富士駅9時58分に到着しました。

 途中、東海道線の「由比駅」あたりから、正面に富士山の姿を見ることが出来ました。いよいよ富士山のすそのを走る身延線が近くまできたと実感しました。身延線の魅力は、なんといっても富士山を間近に、右に左にと長い間眺めることができます。列車が西富士宮駅を過ぎて沼久保駅に進む頃に、富士山の姿は身延線の車窓からは消えてしまいます。

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身延線から最後に見える富士山

車掌が降車する身障者に手を差し出す心癒される風情は、ローカル線こその体験

 単線となって富士川に沿ってゆっくり北上する列車が「寄畑駅」に到着すると、70歳を過ぎたであろう男性の乗客が杖を支えに下車しようとしていました。すると車掌が手を添えて老人を丁寧に降車させていました。「いい眺めだな」とひとり悦にいる私。東海道線や名古屋の地下鉄で見る景色とは段違いです。走りながら、人を押しのけてでも飛び乗っている都会では考えられない風情です。何かいい物を見た気がして、人間のやさしさに触れてうれしくなる気分でした。このように時間を気にせずに、ゆっくりコミニケションがとれる列車がどこにでもあれば、人は焦ったり、自分だけの幸せだけを求めて人を蹴落として生き残ろうとするのではなく、連帯したり、励ましたりして、ほんとうに人間らしい生き方ができるのではないかと思いました。人の生き甲斐とは「人のために何が出来るのか」ということを学んだことが思い出されます。

人に優しくなった気分で「身延駅」に到着。少しの待ち時間を利用して日蓮総本山身延山久遠寺の参拝客らしき人々の行き交う駅前へ出ました。駅前のすぐそばを流れる富士川沿いに、しだれ桜が満開になっていました。

「歴史でめぐる鉄道全路線・身延線」には、身延駅までの開業は1920年と記してあります。ずいぶんと早くに開通していますが、この先の下部温泉方面への工事は遅々と進まず7年後になったとの記述があります。甲府には、その1年後の1928年3月20日に開通で、身延線は1911年の起工以来17年の歳月をかけての全通したのです。

P1010775a写真・身延駅前の富士川沿いの「しだれ桜」

甲府駅に13時25分に到着。この駅で是非立ち寄りたい場所として、1番ホームの一角に設けられた「かふふ駅煉瓦ひろば」があります。この「ひろば」には同駅が開業した当時の旧駅舎の遺物・遺構が展示されています。釣鐘は、火災にも負けずに残ったもので、火災を知らせるのに活躍したといわれています。

「かふふ」とは「甲府」のことを言っているとのことです。

P1010779a写真・「かふふ駅煉瓦ひろば」

 甲府駅から中央東線で塩尻までの88.0キロを約2時間かけて列車は走り抜けていきます。「塩崎」から「穴山」あたりは、車窓の右に八ヶ岳連峰の山並みと左に南アルプスの山々が続きます。先週は南アルプスを西側から眺めていたのに、今日は反対の東側からの眺めで、春の日差しが強く差し込んでカメラに納めきれないほどでした。線路脇にはリンゴ畑が光り輝いています。また、あちらこちらに桜が咲き始めている風景はなんとものどかなものです。

P1010791a写真・八ヶ岳連峰の山並み  

「小淵沢」駅に着く頃になると、右側に残雪の八ヶ岳連峰が広々とその姿をあらわします。こうしてすばらしい景色を眺めながら列車は塩尻に16時36分に着きました。

昔、塩尻駅は釜飯で有名になり、青春時代のスキー列車ではよく買って食べたものです。当時は塩尻で列車の進行方向が変わったような記憶がよみがえってきました。塩尻駅17時05分発の中津川行きに乗車しました。この中央西線は、私自身何度も乗車したことのある路線です。夜も更けてきて木曽路はすっかり闇中という感じで列車は中津川に18時47分に到着。26分間の乗り継ぎ時間を利用して、待合室の売店でビールとつまみを購入、今日一日の列車の旅を振りかえりつつ、19時13分発の快速電車のなかで一杯飲む気分は、なんともいえぬ達成感と充実感です。鶴舞駅に20時24分到着。今日の旅は終わりました。

 朝5時から夜9時までのローカル線第三弾は、総乗車距離345.2キロの旅でした。お疲れ様でしたが、こんなにきつい行程は、誰も付き合わないでしょうね。

 目標は「5年で、全国90路線、全国制覇を」

 到達点  本日の路線は東海道線(豊橋〜富士)、身延線、中央線(甲府〜塩尻、塩尻〜中津川〜鶴舞)の3路線 

前回までの東海道線(金山〜豊橋)、飯田線、篠ノ井線、信越本線、北陸本線、高山本線、太多線、中央西線(多治見〜鶴舞)の合計8路線

 残路線  81路線

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