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知って得する法律情報

フリマサイトのトラブルにご注意

2025年3月17日

 大手フリマサイトのメルカリ(インターネット上で個人同士が商品を売買できるサイト)で、購入者がクレームをつけて出品者に返品する際に、価値の低い別の物を送り返して、商品をだまし取る手口が話題になりました。フリマサイトが当事者間での解決に丸投げしたことがSNSで暴露され、大問題となりました。

 フリマサイトをめぐる問題は以前からありました。全国消費生活情報ネットワークシステムのデータベースによると、2016年には2918件だった相談情報が2021年には9292件と増加しています。

 購入者からの相談で多いのは、「商品が本物であると信じて購入し、専門家に見てもらったところ、正規品ではないとのことだったので、フリマサイトに事情を伝えて返金を求めたが、「既に取引が完了しているので対応できない」との回答だった」というものです。

 出品者からの相談で多いのは、「商品を送ったところ、購入者から「届いた商品は偽物だ」と言われ、最終的に運営事業者から「当事者間で話し合ってほしい」と言われ、何も対応をしてくれず、商品も返却されず、代金も受け取れない」というものです。

 このように、フリマサイトの規約上は、個人同士の取引であり、トラブルが発生したら、基本的には、当事者間で解決を図ることが求められ、フリマサイトは紛争の解決に消極的です。

 しかし、このようなトラブルを当事者間で解決をするとことは、簡単ではありません。話し合いがうまくいかなかった場合には、法的な手続きを取る必要がありますが、その場合は相手方の住所、氏名が必要となります。例えば匿名配送が適用されている場合には、当事者の住所が判明せず、法的な手続自体が不可能な場合もあります。フリマサイトに住所、氏名を問い合わせても、弁護士に依頼をした上での照会でなければ回答をしない可能性もあります。

 そのため、フリマサイトを利用する際には、こういったリスクがあることを十分理解する必要があります。

弁護士 白川秀之(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)

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