セクシャルハラスメントと企業の責任
2025年3月4日
企業におけるセクシャルハラスメント(以下、セクハラ)は、単なる労働環境の問題にとどまらず、企業の社会的責任とも直結しています。男女雇用機会均等法では、企業は職場でのセクハラ行為を防ぐための適切な対策を講じなければならないとされ、企業の社会的責任が明記されています
労働契約法第5条に基づき、企業は労働者の安全な就労環境を確保する責任を負っており、セクハラの防止はその一環として重要な課題です。セクハラが発生した場合、企業は迅速かつ公正な調査を行い、必要な場合には懲戒処分を科さなければなりません。この際、企業が従業員に懲戒処分を科すためには、就業規則により懲戒規程が定められている必要があります。また、懲戒処分の内容を選択する場合には、比例原則に反しないよう、適切な選択も求められます。企業として就労環境の整備や、発生した問題への対応する場合には、事前に弁護士等の専門家へ相談しておくことがおすすめです
企業内でセクハラが放置された場合、労働者の心理的負担や就労意欲の低下だけでなく、企業の社会的信用にも大きな損失をもたらします。さらに、企業の対応が遅れたり、不十分であったりした場合、被害者から企業への損害賠償請求や訴訟に発展することがあります。
職場における労働者の安全と健康の確保に努めることは、企業の社会的責任です。
弁護士 村上光平(名古屋北法律事務所)
(「名古屋北部民商ニュース」へ寄稿した原稿を転機しています)