レイシャル・プロファイリング
2024年4月2日
「レイシャル・プロファイリング」をご存じですか。私は最近知ったのですが、人種や肌の色、国籍などを理由に相手を選ぶ職務質問や取調べのことをいいます。この「レイシャル・プロファイリング」により繰り返し職務質問を受けたのは人種差別で憲法に違反するとして、外国出身の男性3人が、本年1月29日、国と東京都、愛知県に計990万円の損害賠償などを求め、東京地方裁判所に提訴しました。インドにルーツをもつ原告の一人は、日本人の妻と20年以上日本で暮らしていますが、職務質問を繰り返し受けたことで、一時ひきこもりがちになり、外出するのが怖くなったと話しています。訴状では、愛知県警のマニュアルに「外国人は入管法、薬物事犯、銃刀法等、何でもあり!!」と記述があることも指摘されています。
2022年に東京弁護士会が日本在住の外国にルーツを持つ人に対して行ったアンケートでも、およそ2100人の回答のうち、過去5年間で職務質問を受けた人は62.9%で、このうち6回~9回という人が10.8%、10回以上職務質問を受けた人も11.5%いるという結果も出ています。自由記述にも、「大勢の人々の前で犯人のように調査された」「見た目だけで薬物を持っているのではと疑われた。侮辱的だし差別的」との声が寄せられていました。
「レイシャル・プロファイリング」については、国連の人種差別撤廃委員会は2020年の勧告で、各国に防止のためのガイドライン策定など勧告しています。
今回の裁判をきっかけに警察の運用が見直されることを期待します。
弁護士 篠原宏二(名古屋北法律事務所)
(「名古屋北部民商ニュース」へ寄稿した原稿を転機しています)