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解決のための手続き

労働問題の解決には様々な方法があります。

労働問題の解決方法には「話し合い」、「労働審判」、「訴訟」、「労働仮処分」といった方法があります。特に、2006年から始まった労働審判は昨今多く利用される解決方法です。

「話し合い」による解決方法

労働事件の解決方法として、代理人を通じて会社との間の話し合いによって解決する方法があります。話し合いをし、最終的には、一定の合意や取り決めをして解決を図ります。

話し合いによる解決には、こういった方法でやらなければならないというものがあるわけではありません。弁護士でなければできないということはありません。ただ、弁護士を代理人として立てて交渉を行うということは、以下のメリットがあるといえます。

弁護士に相談するメリット

  • 解雇の有効性を争う事件などでは会社は労働者の適格性のなさ、能力不足などを指摘するため、精神的にかなりの負担になるといえます。そういった事実を「弁護士」を通すことで、冷静に反論をすることができます。
  • 会社に対して、訴訟の圧力を与えることができます。そのため、労働者個人で交渉した場合よりも、会社に適切に対応しなければならないと思わせることができます。
  • 法的な知識が、紛争を解決するのに重要です。時間外労働手当の計算でも、正確に計算するためには知識や経験が必要です。

話し合いの流れ

図:話し合いの流れ

「労働審判」による解決方法

労働事件解決方法として、2006年から労働審判手続という制度が始まりました。これは、労働関係に関するトラブルを、そのトラブルの実情に即し、迅速、適正かつ実効的に解決することを目的としています。

労働審判手続は、労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人で組織された労働審判委員会が、個別労働紛争を、原則として3回以内の期日で審理し、適宜調停を試み、調停による解決に至らない場合には、事案の実情に即した柔軟な解決を図るための労働審判を行うという紛争解決手続です。労働審判に対して当事者から異議の申立てがあれば、労働審判はその効力を失い、労働審判事件は訴訟に移行します。

労働審判は、話し合いによる解決を目指しますが、話し合いがつかない場合には、審判という結論をもらうことができる点で、単なる話し合いよりも紛争解決に効果があります。また、紛争を短期間で解決するということができます。

ただ、労働審判は短期間で紛争解決が期待できる分、事前にしっかりと準備をすることが大事です。特に、ある程度の主張、証拠は第1回の審判期日までに準備しておかなければなりません。

そのため、必要な反論や証拠の準備のために弁護士の力を借りることが必要な場合もあります。

労働審判の特徴

  • トラブルの実情に即し、迅速、適正かつ実効的に解決することを目的としている。
  • 話し合いよりも紛争解決に効果がある。
  • 必要な反論や証拠の準備のために弁護士の力を借りることが必要な場合もある。

労働審判の流れ

図:労働審判の流れ

「訴訟」による解決方法

話し合いによる解決が難しい場合、話し合いの前提となる事実について労働者と会社の見解が平行線をたどるような場合には、訴訟を起こすことが必要です。

また、時間外労働手当の請求で、交渉の最中に時効期間が過ぎてしまうような場合には訴訟を提起しなければ時効が完成してしまい、請求できなくなってしまいます。

訴訟の特徴

  • 当事者間に争いのある事件であっても完全に解決することができる。
  • 費用や時間がかかる。
  • 進め方がまずかったことで不利な結論になることもあり得る。

訴訟の流れ

図:訴訟の流れ

「労働仮処分」による解決方法

たとえば、解雇事件のように、給料が支払われない状態になったが、失業手当を受給できなかったり、受給できてもその金額では生活していくことが困難な場合、訴訟手続のような時間を要する方法では、労働者が生活をしていくことが出来なくなってしまいます。

そのような場合、仮処分という方法をとることで、会社に仮に給料を支払わせることで生活の糧を確保することが出来ます。

この手続はその名の通り仮の手続なので、最終的な判断をつけるためには別途訴訟等の手続が必要になります。ただ、この手続の中で、会社と労働者で和解が成立して解決することもあります。

労働仮処分の特徴

  • 裁判所による、比較的迅速な判断を求められる。
  • 労働者の請求に理由があったとしても、必要性がないとして、却下されることもある。
  • 会社側が強硬な態度であり、労働者の生活を確保する必要性が高い場合には有効な方法である。

労働仮処分の流れ

図:労働仮処分の流れ

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