~15周年特集 労働事件(退職に伴う不当請求)
2016年10月11日
1 労働事件と聞くと、解雇や未払い賃金の問題が典型的に思い浮かぶかと思いますが、紛争のバリエーションは多岐に及びます。解雇や賃金といった問題は、労働者が、会社に対して請求をすることが多いですが、逆に、労働者が会社から請求を受けるという場合もあります。
私が弁護士となってからも何件か会社から身に覚えのない請求を受けたという事案がありますので、そのうちの1つを紹介します。
2 事件の内容
依頼者は、比較的小さな製造会社に勤務し、1人で経理を担当していましたが、知人からの誘いもあり、転職を決め、同社を退職することにしました。しかし、依頼者が、退職の予定を伝えると、同社の社長は怒りました。
すると、社長は、依頼者の退職に伴って帳簿、通帳、領収書などを確認した結果、不明金が存在しており、これは依頼者が横領したものだと主張し、会社から約50万円の請求をされました。また、その請求と最後の月の給料を相殺すると言って賃金の支払いも拒まれました。もちろん、依頼者は横領などしたことはなく、これは不当な請求だとして争うことにしました。
3 交渉の結果
まずは、賃金については一方的な相殺は違法だとして支払わせました。肝心な不当請求については、原本は会社が保管していましたが、依頼者も領収書の写しをこまめにファイルに保管していたことも幸いし、これと帳簿や通帳とを照らし合わせる作業をしたうえで会社に対し、不明金についての説明を行うことができました。依頼者が説明が困難な部分ついては、支払に応じて早期に解決して転職先で頑張りたいという意思もあり支払いをすることとはなりましたが、請求された大部分については減額させることができました。
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