~15周年特集 研究開発職の過労死の事案(過労死)
2016年6月13日
1 過労死問題は、長谷川一裕弁護士が、名古屋北法律事務所を設立する以前から積極的に取り組んでいた分野です。
過労死は多くの場合、背景に長大な労働時間がある場合がほとんどです。労働災害の認定基準でも労働者の時間外労働時間が1か月80時間を超える場合には、心筋梗塞、脳内出血などの脳心臓疾患の業務との関連性が肯定されやすくなります。
今回ご紹介をするのは、私が、弁護士になってすぐに関与をした研究者の過重業務を原因とするくも膜下出血によって死亡をした事件です。
2 この事件は、健康食品・飲料の製造・販売を行う会社で、亡くなられた方は研究開発に従事し、何件かの特許にも関与していました。また、新規の研究施設の立ち上げの仕事にも従事していました。
この事件では、会社は一定の役職以上になると、従業員の労働時間管理が全くなされなかったため、正確に労働時間を記録した資料がありませんでした。ただ、亡くなられた方のお父様が尽力をし、自ら会社に乗り込んで被災者が生前使用していたパソコンのデータやメールなどの記録を回収して証拠保全するほどでした。
データの中には、パソコン上のファイルやフォルダの更新時間から、労働時間を推定し、かなりの長時間労働を行っていることが判りました。
3 訴訟段階では、裁判官は、労災認定が出ていることから、和解による解決について訴訟のかなり初期の段階から勧め、会社の社長を呼ぶように代理人に指示し、和解に応じるように説得をしました。
最終的に、こちらの請求金額に近い金額の和解金の支払いだけで無く、会社側が労災認定処分を重く受け止め、遺族に対し心から謝罪の意を表明し、労働時間の適正な管理を定めた各種通達を遵守する条項も挿入されました。謝罪文言、各種通達の遵守がきちんと規定される和解条項は非常に珍しいものでした。
この事件は、被災者の父親の尽力があったからこその結果であり、依頼者と弁護士が二人三脚で勝ち取ることが出来た成果でした。
名古屋北法律事務所では所属弁護士が過労うつ、過労死、過労自殺と言った事案に積極的に取り組んでいます。詳しくはこちら
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